サックス×アイヌの伝統楽器「トンコリ」が融合!?異色のセッションから見えたサックスの無限の可能性

こんにちは!サックス講師の佐藤です。

最近は本当にありがたいことに、様々なステージやイベント、ジャンルを問わない色色な場面でサックス演奏を起用していただく機会が増えました。ジャンルを飛び越えて声をかけていただけることは、演奏家として本当に嬉しく、ご依頼いただいた方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

こうした刺激的な日々の中で、最近改めて強く感じていることがあります。 それは、「サックスという楽器が秘めている可能性の大きさ」です。

サックスと聞くと、皆さんはどんなシチュエーションを思い浮かべますか? ジャズバーでピアノやベースと渋く合わせる姿、ロックバンドの中で激しくソロを吹き鳴らす姿、あるいは吹奏楽やクラシックの美しいアンサンブル……。

もちろん、そうした「王道」のステージでも抜群の存在感を発揮できる楽器ですが、先日はそれを遥かに超える、鳥肌が立つような「未知の出会い」がありました。

今回は、そのエキサイティングな共演のエピソードと、そこから紐解くサックスという楽器の不思議な秘密についてお話ししたいと思います。

1. 民族楽器「トンコリ」×西洋楽器「サックス」の衝撃

先日コラボレーションさせていただいたのは、【トンコリ】という楽器です。 皆さんは耳にされたことはありますか?

トンコリは、日本のアイヌ民族に伝わる伝統的な弦楽器です。細長く独特な形をしていて、どこか素朴で、胸の奥にじんわりと染み渡るような、深く神秘的な音色を持っています。

この楽器、構造も本当にユニークなんです。 なんと楽器の「中」に、『魂』と呼ばれる木製の小さな球や石などが入っているのだそうです。演奏中に楽器を少し傾けると、中でその魂が「コロコロ……」と転がり、何とも言えない繊細な音を奏でます。楽器に命が宿っているような、そんなスピリチュアルな魅力に溢れた楽器です。

そんな伝統的な民族楽器・トンコリと、西洋生まれのサックス、そしてアコースティックギターによる完全な即興のジャムセッションがスタートしました。

「民族楽器と西洋楽器、一体どうなる……!?」

最初は私自身も、どんなサウンドになるのか予測がつきませんでした。しかし、いざ一音が鳴り響き、お互いの音を探り合うように重なった瞬間——。

これが、見事なまでにマッチしたのです!

今まで誰も聴いたことがないような、新しくもどこか懐かしい、不思議で心地よいサウンドが空間を満たしていきました。客席の皆さんも息をのむように聴き入ってくださり、終演後には「今の演奏の録音音源が欲しいです!」という熱いお声をたくさんいただくほどの大盛況となりました。

2. なぜサックスは「どんな楽器」とも調和できるのか?

実は思い返してみれば、私がこれまでに共演してきたのはトンコリだけではありませんでした。 癒やしの音色を持つ「クリスタルボウル」、アフリカ生まれの「カリンバ」、独特の残響がある「スリットドラム」など、いわゆるヒーリングミュージックや民族楽器のジャンルとも、これまで何度もセッションを重ねてきました。

一見、全く異なるルーツを持つ楽器同士が、なぜこれほど自然に溶け合えるのでしょうか? そこには、いくつかの理由があると考えています。

①「倍音(ばいおん)」という共通言語

トンコリやクリスタルボウル、カリンバといった楽器は、共通して「豊かな倍音」を含んでいます。倍音とは、耳に聞こえる中心の音の周りで鳴っている、心地よい響きの成分のこと。 実はサックスも、管楽器の中でトップクラスに倍音を多く含む楽器です。お互いが持つ豊かな響きの成分が、まるでジグソーパズルのピースが噛み合うように、空間で綺麗に混ざり合うからこそ、違和感なく一体化できるのではないかと思います。

② サックス誕生の歴史に隠された「ハイブリッド」な血筋

もう一つ、歴史的な背景もあります。元々サックス(サクソフォン)は1840年代、アドルフ・サックスという人物によって「吹奏楽において、木管楽器の繊細な音色と、金管楽器の力強い音色を融合し、繋いでくれるような楽器」として発明されました。

つまりサックスは、生まれながらにして「異なるもの同士を繋ぐ(ブリッジする)天才」なのです。木管の温かみと金管の輝きを両方持っているからこそ、どんな異国の楽器が隣に来ても、相手の懐にスッと入り込んで調和することができるのかもしれません。

3. 即興演奏は「言葉のない会話」

私にとって、こうした新しい楽器とのセッションは、単に「珍しい音楽をやった」というだけでは終わりません。即興演奏(アドリブ)を専門とする身としては、これ以上ないほどの新鮮な刺激になり、頭の中で新しいアイデアが次から次へと湧き出てくる、最高にエキサイティングな時間です。

私は常々、即興演奏とは「会話のようなもの」だと思っています。

あらかじめ決まったセリフ(楽譜)をなぞるのではなく、 「相手がそう来るなら、私はこんな音色で返してみよう」 「そのリズム、すごく素敵だから乗っかってみるね」

と、その場で言葉を交わすように音楽を展開していきます。 この「会話」の中に、今まで体験したことのない新鮮な音色(トンコリの響きや、魂の転がる音)が加わると、自分の引き出しにはなかった新しい発想やフレーズが、自然と引き出されていくのです。

まとめ:自分の音楽の「土壌」を耕し続ける

色々な方面から「サックスを、あなたを、ここに起用したい」と重宝していただけることは、演奏家冥利に尽きます。

ジャンルに縛られず、様々な現場で多様な楽器と対話を重ねることは、自分自身の音楽性という名の「土壌」を深く、豊かに耕していく感覚に近いです。そこで得た経験値は、間違いなく私の演奏の血肉となり、深みへと変わっていきます。

そして、この多様な現場で得た刺激や「音をブレンドする感覚」は、日々のレッスンを通じて生徒の皆さんにも還元していきたいと思っています。

サックスは、あなたの「表現したいこと」にどこまでも応えてくれる、本当に懐の深い楽器です。 「いつか自分も、誰かと自由にセッションしてみたい!」 「楽譜通り吹くだけじゃなくて、もっと音楽で会話してみたい!」

そんな想いがある方は、ぜひ私の教室の扉を叩いてみてください。王道の曲はもちろん、音楽を全身で楽しむための「会話のコツ」を、楽しく丁寧にお伝えします。

新しい出会いに感謝しつつ、私の音楽の旅はまだまだ続きます。 次のステージでは、どんな音と出会えるか今からワクワクしています!

それでは、今日も素敵なサックスライフを♪

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