こんにちは!サックス講師の佐藤です。
皆さんはリードを選ぶとき、何を基準にしていますか?「バンドレンの青箱」「ダダリオのセレクトジャズ」といったブランド名や、2.5や3といった「硬さ(番手)」で選ぶのが一般的ですよね。
でも、リードを袋から取り出したとき、その**「根元の形」**をじっくり見たことはあるでしょうか?実はリードには、見た目も吹き心地も全く異なる2つの「仕立て方」が存在します。
それが、**「ファイルドカット」と「アンファイルドカット」**です。
この違いを知るだけで、あなたが理想とする音色への距離がグッと縮まります。今日は、意外と知られていないこの2つのカットの違いについて、プロの視点で徹底解説します!
1. そもそも「カット」って何が違うの?
リードの表面をよく見てください。振動する先端部分から根元に向かって削られていますよね。この削り方のスタイルのことを指します。
ファイルドカット(Filed Cut)
リードの振動する部分の付け根が、横一文字に真っ直ぐ削り取られているものです。表皮(皮)が綺麗に剥がされているので、見た目がすっきりしています。「フレンチカット」とも呼ばれます。
アンファイルドカット(Unfiled Cut)
削られた部分の付け根に段差がなく、U字型の削り跡の周りに表皮がそのまま残っているものです。「アメリカンカット」とも呼ばれます。
「たったこれだけの違い?」と思うかもしれませんが、実はこれがサックスの「鳴り」の根幹に関わってくるのです。
2. ファイルドカット:レスポンスの良さと明るい響き
まずは、多くの吹奏楽部員やクラシック奏者が愛用する「ファイルドカット」から深掘りしてみましょう。
特徴:素早い反応とクリアな音
ファイルドカットの最大のメリットは、**「レスポンスの良さ」**です。
根元の表皮を削り取っている分、リード全体が柔軟に振動しやすくなっています。そのため、ピアニッシモでの発音や、速いパッセージでも音が遅れずについてきてくれます。
音色は全体的に明るく、輪郭がはっきりとしたクリアな響きになります。
こんな人におすすめ!
吹奏楽やクラシックをメインに吹いている方
低音域がなかなか当たらない、発音が重いと感じている方
クリアで上品な、透き通った音色を目指したい方
代表的なリード:Vandoren トラディショナル(通称:青箱)、D’Addario Reserve(レゼルヴ)など。
3. アンファイルドカット:コシの強さと深みのあるダークな音
次に、ジャズやポップスのプレイヤーに根強い人気を誇る「アンファイルドカット」を見てみましょう。
特徴:粘りのある抵抗感とハスキーな成分
アンファイルドカットは、根元に表皮がしっかり残っているため、リードに**「コシ(腰)」**があります。息を吹き込んだときに適度な抵抗感があり、強く吹いても音が割れにくく、エネルギーをしっかり受け止めてくれます。
音色は**ダークで太く、ザラッとした「エッジ」や「ハスキーさ」**が混じりやすいのが特徴。倍音(音の成分)が豊かで、音に厚みが出ます。
こんな人におすすめ!
ジャズやポップス、フュージョンで渋い音を出したい方
息をたっぷり入れて、ダイナミックに吹き込みたい方
音に「深み」や「渋み」を求めている方
代表的なリード:Vandoren JAVA(緑箱・赤箱)、D’Addario Select Jazzなど。
4. 講師が教える「選び方の新常識」
ここでよくある質問が、**「ジャズをやるなら絶対にアンファイルドじゃなきゃダメですか?」**というものです。
答えは**「NO」**です。
確かに傾向はありますが、最終的には「マウスピースとの相性」と「あなたの好み」がすべてです。
マウスピースとの組み合わせのコツ
一般的に、マウスピースの構造(フェイシングの長さなど)によって、相性の良いカットがあると言われています。
チェンバーが狭く、エッジの効いたマウスピース(メタルなど)には、少し抵抗感のある「アンファイルド」を合わせると、音が軽くなりすぎず太さが出ます。
抵抗感の強いマウスピース(クラシック用など)には、反応の良い「ファイルド」を合わせると、コントロールしやすくなります。
もし今、「なんだか音が詰まった感じがするな」と思っているなら、あえて逆のカットを試してみるだけで、嘘のようにスッと音が出るようになることもあります。
5. 先生の「失敗談」と「発見」
私自身、学生時代は「クラシックなら青箱(ファイルド)一択!」と信じ込んでいました。でも、ある時ジャズに挑戦しようとして、形から入るタイプだった私はすぐにアンファイルドのリードを買ったんです。
最初は「うわ、吹きにくい!重い!」と衝撃を受けました。でも、吹き続けていくうちに、ファイルドでは絶対に出せなかった「音の粘り」や、サブトーン(息の混じった音)の出しやすさに気づき、目から鱗が落ちる思いでした。
逆に、ジャズ奏者の中にも「発音を極限までコントロールしたいから」という理由であえてファイルドを使うプロもたくさんいます。ルールに縛られず、「自分の耳」で選ぶことが一番の上達法なんです。
6. まとめ:次はどのリードを試してみる?
「ファイルド」と「アンファイルド」。
この2つの違いを意識するだけで、楽器屋さんでのリード選びがもっと楽しくなります。
素直に、楽に、綺麗に鳴らしたいなら「ファイルド」
パワフルに、渋く、個性的に鳴らしたいなら「アンファイルド」
まずは、今お使いのリードがどちらのタイプか確認してみてください。もし片方しか使ったことがないのであれば、次はぜひ「もう一方の世界」を覗いてみてください。
リード1枚の違いが、あなたのサックスライフを劇的に変えるかもしれませんよ!

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