マリンバとザイロフォンの起源、音色、楽器の形状の違いについて

大田区・蒲田にある創業70年の音楽教室、蒲田音楽学園です☺

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蒲田音楽学園にはプロの演奏家も使用している、こおろぎ社の5オクターブマリンバが設置されています。

体験でこのマリンバを初めて見た方々から、「ザイロフォン(Xylophone)とは何が違うのですか?🤔」という質問を受ける事が多々あります。その問いに対して音色や、楽器の形状の違いについて説明する事が多いのですが、実は楽器の起源も異なっております。

ここでは起源の違いについて紹介し、そこからどのように音色や楽器の形状に違いが生じていったのかを見ていきます。

・木琴

まずはマリンバ、ザイロフォンと聞くと連想される「木琴」について見ていくと、『ニューグローヴ世界音楽大事典』の「木琴」の項目では、「発音に木、竹、あるいは合成表材の音板を用いて、音列の順に並べた打楽器」と説明されています(James Blades 1995, 377)。そして木琴は、ヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、南アメリカ、東南アジアで使用が見られ、それらの楽器の形状は様々であるとされています。(Lois Ann Anderson)。

・マリンバ(Marimba)

以下では、アフリカの木琴に注目していきます。アフリカでは、13世紀にマリ王国で小さいひょうたんを共鳴管としたバラフォン(Balafon)と呼ばれる木琴が確認されています(Lois Ann Anderson)。バラフォンは、16世紀初頭にアフリカ人によってアメリカのグァテマラに持ち込まれました(George List 、Linda L. O’Brien-Rothe)。そしてグァテマラの人達は、持ち込まれたバラフォンの形状を拡大させ、マリンバを製作しました(カイト 2011, 118)。

・ザイロフォン(Xylophone)

以下では、ヨーロッパの木琴に注目していきます。ヨーロッパでは、1511年に最初の木琴が確認されています(James Blades)。その後1529年には、「ストローフィーデル(Strohfiedel)」と呼ばれる木琴(卓上木琴)が登場しました。このストローフィーデルは、ヨーロッパからの移民によってアメリカに持ち込まれ、1878年にはアメリカでザイロフォン(この頃は卓上木琴)が製作されていた事が確認されています(カイト 2011, 116-117)。

以上の様にマリンバの起源はアフリカの木琴であり、ザイロフォンの起源はヨーロッパの木琴であり、これらの起源は異なっているのです。

・マリンバとザイロフォンの音色、楽器の形状の違い

マリンバとザイロフォンは、それぞれの地からアメリカに持ち運ばれて、アメリカで楽器改良されました。この頃マリンバとザイロフォンの違いは、ザイロフォンには共鳴管がなく、マリンバに対して音は大きいが、響きが短いという様にはっきりと理解されていました。しかし1888年にアメリカで、プロのクラリネット奏者であり楽器製作者でもあるディーガン(J.C.Deagan)が、ストローフィーデルにマリンバの特徴である共鳴管を付け加え、スタンドも取り付け、現代によく知られているザイロフォンを製作しました(カイト 2011, 115)。よってマリンバとザイロフォンの区別が難しくなってしまったのです。その後、技術が発展し正確な音が出せるようになると、1927年に鍵盤打楽器の製造会社J・C・ディーガンで働くシェルターが、マリンバよりもザイロフォンの方が明るい音になるように、チューニング方法に変化をつけました。1955年にはマリンバ奏者ジャクソン(Burton L. Jackson)が、マリンバの鍵盤は木材の外側(やわらかい部分)から作られ、ザイロフォンの鍵盤は木材の中心部分(固い部分)から作られるという違いを発表しました(カイト 2011, 120-122)。この様にしてマリンバとザイロフォンには音色の違いが生まれたのでした。その後マリンバは、低音の音域拡大がなされ、同時に共鳴管も拡大していきました。よってマリンバとザイロフォンには、形状の違いも見られるようになりました。

 以上がマリンバとザイロフォンの違いについてです。是非マリンバの起源である、アフリカのバラフォン(Balafon)を検索してみてください。✨

〈参考文献〉

・Ann Anderson Lois, et al. “Xylophone”. Grove Music Online. Oxford Music Online. Oxford University Press.

・Blades, James. 1997. 「木琴」 岡田知之(訳) 『ニューグローヴ世界音楽大事典』第18巻: 377-378

・カイト、レベッカ 2011 『安部圭子-マリンバと歩んだ音楽人生-A VIRTUOSIC LIFE』 杉山直子(訳) 東京:ヤマハミュージックメディア

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