楽器のはなし

これまでかなりの数のフルートを吹いてきました。
日本のメーカーだけでも数社、海外のも合わせるとかなりのフルートのメーカーがあって、それぞれコンセプトも違うので吹奏感も異なります。
そして気づいたらいつの間にか何本ものフルートを所有しています

新しい楽器に買い替える時は、「もうこの楽器が自分にとって運命だ!この楽器なら自分の理想に思っていることが更に自由に実現出来る!」という幻想(!?)にとらわれるのと、もう一つ例えていうと迷宮にある宝箱を全て開けてみないと気がすまない好奇心みたいのものから来ているような気がします。

だからといっておいそれとすぐに買い替えは出来ないので当然購入に至っては慎重の上にも慎重に、熟考に熟考を重ねます。

ある高名なフルーティスト曰く「楽器の購入は非常にお金のかかる配管工事だ!」という例え話もあるくらいです。

今はメインで国産の異なるメーカーの2本の楽器を使い分けて吹いているのですが、その前はアメリカのメーカーの楽器を吹いていました。

購入した頃は今のように円安ではなかったので現在のような目が飛び出るような!金額ではなかったのですが(といってもその当時でも国産よりは高かった)、そのアメリカのメーカーの楽器は音の遠達性がとてもよく、音色に存在感があって、その音色は甘い香りがするような感じで何ともよかったのですが、一方でどうも大ぶりの外車に乗るような感じで操作性に少し思案するところが時々ありました。

といいながらその楽器で20年くらい吹いていた頃、ちょうど国産のあるメーカーの新しいコンセプトの楽器がアメリカの楽器のようにバリバリ鳴るし、音色も今までの国産の楽器にはない感じで操作性もいいという評判を小耳に挟んでいました。
その楽器のメーカーの方にも事あるごとに勧められていたのですが、内心、
「そんな都合のよい楽器あるわけないだろう···」
と思いつつしばらくは静観していたのですが、そういいつつ気になるので(!)疑心暗鬼に試奏に伺うと、

「!!、吹きやすい!」

でも額が額だけにおいそれとは決断出来ず試奏を重ね、熟考を重ねた上に相棒にしてみることにしました。
評判通りコントロールもしやすく音程もいいし音色の柔軟性も変化がつけやすい。

···が、その楽器を吹いて2年くらいたってから、
「····吹きやすい楽器を吹いていたら自分の感覚は実は衰えてしまうのではないか?」というように思い始めました。

楽器はメーカー毎に、また同じメーカーの中でもモデル毎に違うコンセプトで作られています。
例えば、頭部管の唄口と呼ばれている部分。
例えば下の画像はリッププレートの形状が微妙に違うのですが、このリッププレートの形状によって音色は違ってきますし他にも唄口の広さで吹奏感は全く変わってきます。

(写真1)
(写真2)

例えば、唄口は広いものだと当たりが広いので誰でも割と音をヒットさせられる確率は高い。
唄口の狭いものは息の狙いを定めないと音は飛ばないのですが、逆に狙いが、はまった時の感じはホームラン並みに音が飛びます。
つまりこのタイプの楽器は吹き手側の技術がかなり必要とされるので吹き手を選ぶ楽器だといえます。

この辺り少しわかりにくい話しだと思いますので次回に続けます。

 

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